料理長健在!

竹園のコロッケとミンチカツは、創始者の奥さん(祖母です)が、お客様への還元の意味で作ったものだと聞いています。そして、その味を作ったのが、若かりし日の父であることは、僕の秘かな自慢だったりします。
ちなみに僕も20歳頃にコロッケとミンチカツの製造に携わっていました。出来ればこの部門をもらって外部展開出来たらなぁなんて思っていたのですが、竹園が銀座に出店することになり、手薄になった料飲部に引っ張られる形でその夢はついえました。
そんな訳で僕にとっても多少なりとも縁のある食べ物だったりする訳です。2006年の新体制発足時に別館でミンコロ定食を作ったのも僕だったりしますので思い入れも強いです。
なのでやっぱり今のコロッケとミンチカツは僕にとっては少し別物に感じられてしまいます。祖母の思い、父の味、そのどちらも薄れてしまっていると思えるからです。でもそれは別に悪いことではなく、今の竹園がそういう方向性なんだから、それは僕がどうこう言う話ではないだけのことです。ただ食べることが少なくなったというだけです。

そんな今日、父からミンチカツを頂きました。あの当時の思いそのままに、奉仕品としての、でもそこに最上を込めた父の味が再現されていました。大変申し訳ないですが、但馬牛を使った現行品よりも美味しいものでした。コストコで買った多国籍軍のミンチを使ったようですが、素材を超える手間暇こそ職人の証なのかもしれません。そして何よりも、そこに込められているのは、食べた人にただただ「美味しい」と言ってもらいたい!という祖母や父の思いなのかもしれません。僕はそういう思いが料理を美味しくすると思っています。実際にそうだとも思います。

2000円近く取れる肉汁ジュワーなミンチカツも美味しいんですけど、その少ない肉汁を極限まで閉じ込めて、口の中でのみ広がるように仕上げられた匠の技がただただ凄く、色んな意味で深いミンチカツでした。

料理長健在なり!
ありがとうございます。ご馳走様でした。

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